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[コメント] 男はつらいよ 翔んでる寅次郎(1979/日)

猫の皮をかぶった桃井(05・8・15)
山本美容室

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 寅さんでは『翔んでる寅次郎』のDVDだけ持っている。桃井かおりは清純な役が似合わない女優だ。この作品では「田園調布のお嬢さま」という設定なのだが「なりすましている」という感じが拭えない。そこが面白いのだけれど。母親の木暮実千代と組んで「結婚サギ業」を営んでいるように見えるのだ。木暮実千代は言葉遣いは上品だが不貞の匂いがする。似たもの親子のキャスティングだと思う。

 予告編を見て驚いた。北海道で寅さんと桃井が出会う場面である。「おにいさん。ココどこ?」「北海道だろ」「やだぁ。それぐらい分かるわよ」中略「今まで何してたんだい?」「オスィッコしてたの」このシーンは本編には使われていない。「オスィッコしてたの」という台詞が田園地帯のお嬢さまに似合わないという事でカットされたのだろう。しかし桃井かおりという女優にはよく似合う台詞である。似合いすぎるぐらいだ。

 山田洋次も桃井かおりというマドンナをどう扱って良いか悩んだと思う。ロマンポルノに出演し『青春の蹉跌』ではナマナマしい女を演じた桃井。清純派ではない事は分かっていた。そうだ! 布施明を純情青年にすれば良いのだ。バランスが取れるではないか。「ねぇキスして…」桃井らしく布施明に下宿で迫るのだった。結婚式場から飛び出した自由奔放な女のイメージだ。ラストは寅さんが仲人で二人の結婚式でハッピーエンドになる。この映画は冒頭の満男の作文から楽しめる傑作だ。桃井かおりの嫌いな人には薦められないが桃井ファンには文句ナシの作品である。

 メモ 公開日 1979年8月4日 観客動員数 172万6千人 主なロケ地 北海道支笏湖 函館

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)TOMIMORI[*] ぽんしゅう[*]

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