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[コメント] 男はつらいよ 花も嵐も寅次郎(1982/日)

タコが言うのよ。「オとこは顔ですか?! 」・・・そりゃそうでしょう。ということにしとこうか。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 寅が、若い男女の両方から、恋の応援者として頼られるという珍しい、だが今後の黄金パターンになりうるのではと思わされた展開。まず、年の差ありすぎの恋愛話(実際には失恋話だが)は見苦しい訳だが、寅のそこら辺の想いが一定以下に抑制されるため、見やすい。また、成就する恋の話が中心となるため、やっぱ失恋話より見てて心地よいし、座りもよい。

 螢子(田中裕子)に、デートでまったく口の聞けないでいる三郎(沢田研二)の心情を「あんたに惚れているからこそだ」と寅が解説していた。こういう駄目男子の心情の解説は、まさしく寅の得意分野だ。前作のいしだあゆみとのデートでの無惨な木偶の坊ぶりの釈明にもなっていた。

 もっとも三郎には、「『愛している』は口で言うな。目で言え」などと、作品初期のテキトーなヤクザ者気質に回帰したアドバイスをしていたが。

 螢子からも、「三郎さんの気持ちはわかる。でも私も19、20才じゃない。結婚はもっと現実的な問題なの。二人にとって大事な話を真剣に話し合えないのでは、不安になって当然でしょう」と言い返され、寅には手に負えなくなっていたが。まあ、こういう論理のスッと出てくるところが本作の凄味だ。ギャフン。

 寅が、三郎から恋愛をしたことがあるかと聞かれ、「俺から恋愛を取ったら何が残る。ただの人糞製造機だ」と答える。映画で描かれる寅は確かにこの通りだが、寅自身がこのように自己規定しているとはやや意外感。

 寅の啖呵売を隣のテキヤ仲間が「喇叭の囃子で掛け声だけか」と揶揄する。寅の売はいつも本当に掛け声だけ。サクラを仕込んだとき以外で売れたところを見たことない。前作で、普通の口調で売をしていて、オヤと思ったのだが。これは多分、当時の観客や会社側が復活を望んだのだろう。

 沢田研二は、言うほど二枚目ではないよな。草刈正雄あたりだったら良かったのにと、わが家では意見の一致をみました。

80/100(19/5/22記)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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