[コメント] 夜も昼も(1946/米)
云わずと知れたコール・ポーターの伝記映画。演ずるは、ケイリー・グラントで、矢張り想像通り、いつものグラントと全く変わらない、泰然自若としているが何を考えているのかよく分からない人物なのだ。多くの楽曲がヒットナンバーばかりなのは耳に楽しい。
1940年代のカラー映画なのでゴージャスな画面も堪能できるが、前半は手堅いディゾルブ処理で快調なマイケル・カーティスの演出も、中盤から、失速してしまう。全体に突出した魅力がないのが残念だ。
ドラマ部分では、グラントとアレクシス・スミスとの甘いメロドラマを軸にして、従妹のドロシー・マローン、早くからの友人でコーラスガールのジェーン・ワイマンらをラストまで絡める展開を持つが、この3人の女優の使い方も中途半端だ。
ミュージカルシーンでは、スター歌手として登場し、中盤かなり目立つのがジニー・シムズという人で、「I Get a Kick out of You」「What Is This Thing Called Love?」「Ive Got You Under My Skin」「Just One of Those Things」「You re the Top」などを唄う。この人は初めて見たが、ルックスも悪くないしもっと活躍しても良かったのではないかと思った。あと、イヴ・アーデンとメアリー・マーティンも歌手役で出てきて、それぞれ1曲ずつ唄うシーンがある。
エンディングのエール大学(ポーターの母校)の記念式典シーンでは、タイトルになっている「Night and Day」がコーラスで歌われる中、不自然な抱擁シーンが演出されるのだが、不自然と云えば、その展開以上に、グラントの顔の表情の意味深さなのだ。『断崖』の階段シーンの彼を思い起こさせるような、なんともゾッとする表情をしているではないか。
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