[コメント] 天城越え(1983/日)
監督のエロさがひしひしと伝わってくる。
「職業的偏見による冤罪」「時効と罪の消滅」「少年期の性の目覚め」「家出という名の冒険」「老刑事の執念」「情緒あふれる伊豆下田の風景」などなど、松本清張作品らしくいろいろな要素の詰め込まれた物語だ。普通の映画ならこれらの要素をうまく調合して壮大なハーモニーを目指すのだが、この『天城越え』という作品の凄みは、構成要素のバランスなんて無視して一点集中型のフェチズム作品に仕上げてしまったことだろう。
この映画がどういう経緯で製作されたのかは知らないが、おそらく原作を読んだ製作陣のおじさま方はこう思ったのだろう。「おれも家出した先でキレイなお姉さんに可愛がられたかった!」健全な男性なら共感せざるを得ないファンタジーだ。そして彼らは、このファンタジーの映像化のために全ての力を注ぎこんだ。現代シーンに手間なんてかけられない。渡瀬恒彦の失敗メイクなんて気にしない。とりあえず新幹線でも出しておけば良いだろう、という勢い。
そして出来上がった回想シーンは、男子の妄想を十分に満たして余りあるクオリティに達した。少年の足に田中裕子が抱きつくシーンなんて、もうヤバい、エロ過ぎる。
田中裕子の出ていないシーンは退屈極まりなく、高いお金を払って映画館で観ていたとしたら我慢できなかっただろう。でも、一人でビデオで鑑賞する分にはこういう作品も良いものだと思うのです。
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