食料が足りないから、官憲に見つかりそうだからと、ゴミのように黒人奴隷たちが海へ「捨てられる」シーンは衝撃的だった。

こういうリアルな実態を突きつけられては、物が言えない。そういう意味では映画の力というものを感じざるをえない。

そしてこの事実に目をそむけずに描ききったスピルバーグの姿勢はそれだけでも大いに評価できると思う。

しかし、２時間半におよぶ大作にもかかわらず、どうもはしょった感じがぬぐえず、ドラマ性が不足しているような気がした。テーマのせいかもしれないが、もうちょっと脚本を練り上げる余地があったのではないだろうか。