[コメント] ゾラの生涯(1937/米)
「伝記の雄」と呼ばれたディターレにも関わらず、歴史の観点に注目を当てると粗野に描き過ぎているとの印象を受けるが、作品のテーマは現代にも通じる普遍性を持っている。
ウィリアム・ディターレによるエミール・ゾラとドレフュス事件を描いた作品である。もっとドラマティックに、映画的な盛り上がりがあっても良かったのではなかったかと思う。そして伝記ものは歴史に忠実に描いた方が良い。そうは言っても、裁判のシーンの緊張感の作り方などは相変わらず上手。
また、音楽や下手な映像技術に一切頼らず、真っ向勝負で責めて来るので出演者たちの演技が際立っている。特に、エミール・ゾラを演じたポール・ムニは生涯で最も素晴らしい演技なのではないか。ドレフュスを演じたジョゼフ・シルドクラウトは本作でアカデミー賞を受賞の威厳ある演技を見せていましたが、個人的には受賞レベルまでのインパクトは無く、特に出番も多いわけではないので、アカデミー史上、サプライズの一つであろう。
結局はアカデミー賞作品賞を受賞したが、やはり時間をかけてドレフュスの背景をもっと深く丁寧に描いていればと俳優が健闘していただけに悔やまれます。人物造形をもっともっと深く掘り下げないと、私は余り感情移入出来ないので、残念でした。
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