[コメント] ストップ・メイキング・センス(1984/米)
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FUNNYっていう感じ。とんがってるのにめっちゃユーモラス。エスプリの効いた歌詞やアフリカンビートを取り入れた、かなりインテリジェンスなことをやっているのにメンバーの気さくな感じ。このバンドのことを知らない人がこれ見て一発で好きになっちゃうこともありそうな、そんな楽しさに溢れている。
「Remain In Light」「Speaking in Tongues」の頃の、ジャムセッションしながらリズムや音の重なりの面白さを追求してた頃の楽曲が中心のカッティングギターが奏でるスクエアなビートが肝の演奏と、画面を真正面や真横から切り取ったスクエアを意識したアングルの多用や編集のタイミングの良さが絶妙な映像の両者が相乗効果をなしている。コーラス・ボーカル・ギターのフロント(下段)と、打楽器・キーボードのバック(上段)の2列が直線状に横並びしている配置の構図、フロントメンバー(コーラス2人、バーン、ティナ、サポートギター)の、前後左右のシンクロした運動の面白さ。これに関しては会場での観賞では味わえない、映画としての快感が間違いなくあると思う。移動や足踏みしたりというところは揃ってパーフォーマンスしながら、プレイヤーの個々のリズムの捉え方の違い(腰でとったり股関節でとったりだとか)の動きが混ざっていて、何ともファニーな心地よい動きになるのは、アフリカのポリリズムなビート(偶数拍に奇数拍が混ざる)とマッチしてるのかなぁと思ったりもした。つまりスクエア(4拍)のかちっとした囲みの中に奇数拍を感じるリズムの面白さを、ステージの四角形の配置の中で有機的に振る舞うメンバーの動きに目で観て感じる仕掛けになっているように思う。そしてそれを最大限に味わえるのは真正面から撮影されたアングルがあればこそだ。
あまり映画と関係ないけど、ネットやここのコメテの方のコメントでもティナさんに言及しているのが多く、ティナさんのフロントマンとしての活躍はバーンに匹敵するくらい重要だったことがわかる。基本腰で4ビートをとりながら、ミュートを効かすところのポーズがちょっとお茶目な感じがかわいくてかっこいいのだ。あと当時はこれが当たり前だったのだろうが、イヤモニなしでのこの高度な演奏の凄さ。ドラムのクリスが楽曲の演奏に入る前にヘッドホンでクリックを確認し、あとはみなクリスに合わせて演奏してる、クリスのリズム感が凄いなぁと。改めてトーキングヘッズのリズム隊夫婦は最強と思った。今回字幕で「トムトムクラブはココまででおしまい。このあとはトーキングヘッズだよ」とか言ってたのを初めて知って面白かった。あとパーカッションがアンコール曲の時、「ジェリー降りてこいよ」って言ってたの、何だったんだ?
最後に「Once in a Lifetime」でバーンがハンドマイクをスタンドに置きそこなってステージにマイクを落としてしまうんだが、そのゴンって音が以前の映画には入っていたような気がしたんだけど、今回のレストア版ではカットしてたみたい。あれ好きだったんだけどなぁ。
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