[コメント] グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997/米)
この天才青年をめぐる他愛のない青春ドラマが私の心を強く引くのは、男たちの友情物語の裏にガス・ヴァン・サント監督が仕掛けた愛情物語のせいだ。男が男を見つめる視線の熱っぽくて艶っぽいこと。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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才能に恋する数学者ランボー教授(ステラン・スカルゲールド)は学生時代に、後に心理学者となるショーン(ロビン・ウィリアムス)の才能に恋しをして、彼をルームメートに選んだに違いない。そしてランボーは、その葬儀にも出席しなかったというショーンの愛妻にショーンを奪われる。
新たな才能ウェル(マット・デイモン)を発見したランボーは、、再び恋に落ちるように彼に夢中になる。ランボーが、ウェルのカウンセラーとして最後の最後にショーンを指名するのも、新しい恋人の更正をかつての恋人に託す後ろめたさのせいだ。
一方、ウェルの親友チャッキー(ベン・アフレック)もまた、天才的な能力を持ちながら社会の底辺を生きる自分達と行動を共にするウェルに、憧れと尊敬に近い愛情を抱いている。だからこそキャッチーはウェルの更正を心から望み、インテリブルジョア娘スカイラー(ミニー・ドライヴァー)にウェルを託すのだ。願いがかないウェルが消えた朝の、キャッチーの顔の清々しいこと。
超天才的な頭脳の持ち主ウェルは、大学教授たちにとっては全知全能の存在であり、下層の不良たちにとっては未来を見せてくれる救世主だった。これは地に堕ちた自分達の神を、復活させるための男たちの愛の物語なのだ。ガス・ヴァン・サントは、友情などより愛情を信じる監督なのだ。
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