[コメント] パピヨン(1973/米=仏)
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貧乏学生時代、どこから得た知識か(一応、漫画こち亀で、青虫を食べて生きている両さんを例えた中川の台詞だったと記憶している)、自分の状況を「まるでパピヨンだよ」と例えて仲間に話したことがしばしばあった。それは、「パピヨン」の響きがハングリーに聞こえ、その表現を気に入っていたからなんだけど、恥かしいことに、実は当時この元ネタを知らなかった。
そこでつい最近、本作を観たわけですが、全く認識が間違っていたことを知った。パピヨンは貧乏ゆえに食う者がなかったわけではなく、逃れるすべがあったにもかかわらず、自分の人生と仲間を守る為、そして何が何でも生きるためにゴキブリやムカデまでも食べたのだ。そして自由を求めて海の向こうに挑戦したのだ。潮流は自分の味方をしてくれる、そう信じ、死の恐怖も忘れて・・・。全く恐れ入る。
『大脱走』では、とことんクールでかっこいいヒルツを演じたマックィーン。本作では異質の脱走ものに挑戦しており、異なる魅力を感じることが出来ます。彼の表情からは、メークだけでは出し得ない「やつれ」を感じることが出来ます。その眼だけはいつも青く光っているのが印象的でした。
独房で隣室の人間に「俺、健康そうに見えるか?」と問われた台詞を、後日、別の隣室の囚人に問いかけた演出や、ラストの荒廃した収容所の描写に見られるように、時間の流れを表現する上で、主人公パピヨンの表情・服装の変化に加え、周囲を織り交ぜるシャフナー監督の演出はさすが。『猿の惑星』『パットン大戦車軍団』と言い、時間を描かせたら、シャフナー監督の右に出るものはそうそういないでしょう。
ところで、マックィーンとも共演した今現在も現役ばりばりのダスティン・ホフマンって、いったい何歳なんだ? と調べてみたら、2004年3月現在で67歳。公開当時は36歳。もともと『マラソンマン』では実年齢39歳で学生を演じてしまうぐらいの役者なので、今更さほど驚きませんが、あらためて年を取らない役者だなー、と感心しました。
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