[コメント] バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2(1989/米)
観客の記憶に頼る映画。
やはりこの作品にあるのは記憶(とりわけ前作にまつわる)を刺激される「快感」に過ぎず、映画だけが持ちうる「面白さ」、即ちワンショット及びショットの連鎖が生み出す面白さでは断じてない。しかし、この作品が刺激せんと意図するところの記憶を持たぬ者(具体的な例を挙げれば、前作を見ていない者)であっても楽しめるつくりにはむろんなっているし、「快感」が端的に悪いというわけでもない(第一、私にしても殊に「映画的記憶」の刺激による快感に関しては肯定的だ)。そもそもいかなる意味での「記憶」とも無縁に成立する映画というのもまた考えにくい。そういうわけで私には積極的にこの作品を否定する気もあまり起きないのだが、ここに映画表現の未来はない、ということは(現時点では既に)はっきりしているだろう(「ヒット映画の未来」ならあるかもしれないが)。一時的な快感を追い求め、「映画表現の未来」などまったく顧慮しないこの自堕落で非歴史的な態度は、とりわけ過去と未来について取り扱うこの作品にあっては、もはや倫理にもとるとさえ云ってもよい。
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