[コメント] 身代金(1996/米)
私には当時の年間ベスト3に入る作品だったけど、他の人のコメントや採点を見ているとあまり印象を残さなかったようですね。さみしいなあ・・・。
確かに、身代金に用意したお金を逆に犯人への懸賞金とするというアイデアは、事前に予告編などで披露されてました。でも、当時はそれが斬新で面白そうだから観に行った、というのがまず一つあります。それに、実際どういう背景と経緯で主人公(メル・ギブソン)がそういう行動をとるのか、ってところがきちんとわかるように描かれていますので、そこに注意しながら観れば、興醒めを感ずるよりはむしろ興奮を覚えるのではないかな。個人的には拍手喝さい、って感じでした。なぜ警察の指示を無視したのかという理由も、わかるように提示されていたと思うけどな。
なぜ犯人が主人公を恨んでいるのか?ってのは私にもわからなかったですねえ。恨みを持ってるかのように描かれてはいたと思いますが。ただ、なんで恨んでるのか、ってことはこの映画にとってあまり重要なことではないでしょう。主人公を対象に選んだのは何故かってことは、きちんと説明されてるし。
それとラストのアクションシーンに批難が集中してるようですが、これは黒魔羅氏も書いているように、ハリウッドの映画では「お約束」だからなあ。落語の「落ち」みたいなもので、これがないとスッキリしないと感じる人もいるんですよ。打破すべきだという感覚もわからなくはないけど、素晴らしい作品の最後に「お約束」がくっついたからといって、作品の価値を損なうものではない、と思うけどなあ。と言葉で説明しても、そう感じちゃった人には役に立ちませんが・・・
現実の誘拐事件でもそうですが、金の受け渡しのところが一番難しいですね。どんなにそこが上手く描かれている映画でも、んー、現実にはちょっとな、って思わせてしまいますから。その点はこの映画も一緒だけど、それでも、当時(わずか4年ほど前ですが)はまだ今ほどには普及してなかった携帯電話やノートパソコンを小道具として上手く用い、テンポよく描いてたので、結構感心して観てましたね。
最も印象に残っているのは、我が子を失ってしまうかもしれないという状況下の、親の心労を描いている所。受話器の向こうで銃声が聞こえるシーンなんか、映画館でシートに座って観ているこちらまで、思わず悲鳴を漏らしてしまうほどでした。こんな映画をそこまで感情移入して観る奴も珍しいかもしれませんが。
みなぎる緊張感の凄さがただものでない傑作。忘れられてしまうには惜しい・・・。
90点/100点(2000/12/1)
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