[コメント] イレイザーヘッド(1977/米)
育児ノイローゼに罹った男女と男の人生の縮図を幻想的なパターンによって独創性豊かで作家性に富みまくったグロティーだけど、ちっとも後ろにたじろかせない全体を覆い尽くしている得体の知れぬ雰囲気は見習いたくても見習えない。多数とは真逆に突き進むことで自分なりの美を追い求めていく姿勢は人間の欲の裸体ではないだろうか。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ロシア人哲学者ベルジャエフが語った「人間はすべて例外である」が間違いではなかったことがこの映画でも証明された。
逆説的に造形美を用いてはいるが、作品のソコで徘徊する一つの物語は人間が繰り返してきた何エクサ通りの生活の普遍妥当性に見初められた記録。その膨大な量の情報を処理するに至って用いられた機械がデビッドリンチの突然変異型アーキテクチャーによって創られた脳。
そして、赤ちゃんという人類の宝であり、生命の美とでもいえる造形物をグロテスクでキモ可愛くフィルムに焼き付けるデビッドリンチを司った脳は、肉質化してないので解剖は不可能。解剖できるものであれば価値がないと言えるので、至って健全なその芸術家魂は万人が喉から手が伸びるほど欲しい最大の境地。それが、こうして技術の発達により、お手軽に拝見できるとは、滅多に訪れることがないハレー彗星よりも有り難みが感じられる作品であった事実は永遠に消せないディープインパクトだろう。
2003/5/15
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (4 人) | [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。