[コメント] うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984/日)
「ダーリンとお母さまやお父さまやテンちゃんや秀太郎やメガネさんたちとずっとずっと楽しく暮らして行きたいっちゃ。それが、うちの夢だっちゃ。」映画の中でラムはこんなことを言う。
今のままが幸せ、変わらずいられることが夢。21世紀の現代を生きる我々からすると、そんなことを無邪気に言い放つことのできる状況にあることこそが稀有で、本当に幸福なことなのだと感じてしまう。我々は、社会を健全で非暴力的で健康なものにした一方、この時代に確かに存在した、モラトリアムでいられる余裕を失ってしまった。昔はよかったと言うつもりはない。ただ時代が変わったことを痛感するのだ。この映画は、時間という概念の歪みを通じて、モラトリアムを支える基盤が思いのほか不安定なものなのではないかという時代の予感を提示しているようにも思える。
輪廻を繰り返すにつれて深く広がっていく螺旋型の時間、空間のループ表現は絶品。
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