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[コメント] プライベート・ライアン(1998/米)

スピルバーグに戦争体験を語る爺ちゃんの声が聞こえてきそうだ。
空イグアナ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







僕もまた、「冒頭のノルマンディ上陸作戦だけでお腹いっぱい。あとは蛇足。」と思う一人である。スピルバーグがいかに取材をしたかが伝わってくる。そして僕自身の小学生の夏休み、宿題として戦争について調べさせられたときの記憶がよみがえってくる。スピルバーグに戦争体験を語る爺ちゃんの声が聞こえてきそうだ。

「”行け!”っていう声がかかって、出撃しようとしたとたん、銃声がして、兵隊が順番にバタバタと倒れていったんや。」「海の中にまで弾丸が、水をシャアッて切って入ってきた。」「聞こえてくるのは銃声ばかりやった。」「片腕ちぎれた兵隊さんが、自分のちぎれた腕を探して、拾ってたんや。」「わしと一緒におった兵隊さんは、ヘルメットをとったとたんに頭を撃ち抜かれて死んだんや。」「気ぃ付いたら、海は血で真っ赤になっとって、魚が何匹も白い腹見せとったわ。」

戦争という実話を再現しただけの、誰だってつくれる映画だろうか?違う。こうした話を集めて、効果的な演出で映画としてつくるのは大変なのだ。僕には映画をつくった経験はないけど、それでもわかる。夏休みの宿題を思い出せばわかる。ノンフィクションがフィクションよりも劣っているわけじゃない。下手くそな監督が撮ったら、適当に銃を乱射して、適当に火薬を爆発させただけの映画になっただろう。

あるいは、スピルバーグが使ったのと同じ資料を、誰か他の監督に渡したとしても、センスのない監督だったら、ぜんぜんつまらない映画に仕上がっていただろう。この映画の演出を見ろ!爆発の衝撃で数秒間、耳が聞こえなくなったトム・ハンクス。その無音の数秒間を利用して、「自分の腕を拾う兵士」を見せる。音の無い世界で腕を拾う兵士、これは怖い。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ペンクロフ[*] けにろん[*]

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