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[コメント] アイス・ストーム(1997/米)

氷の涙の意味

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







●ケビン・クライン(父)の堰を切ったみたいに泣き崩れる姿。そして、その後姿をわけもわからず放心状態で見つめるトビー・マグワイヤ(息子)。とんでもないラストじゃないの、これって?

実際、周りの氷の世界よりも冷たいのは、2つの「家族」だった。それに対して、ラストに何の‘救い’も用意しないアン・リー。おそらくこれは、アン・リーがアメリカ人ではないからできたことではないのか。アメリカ人が最も大切にする社会の根幹である「家族」を、何の衒いもなしに突き放してしまえるのだから。(『アメリカン・ビューティ』のサム・メンデスもイギリス人だったように)。たしかに、この映画には「70年代アメリカ」という‘いいわけ’もある。が、しかし。過去と地続きにある「現在」において、この「家族」の上に21世紀のアメリカがあるというとんでもない事実。アン・リーがラストに突きつけたのは、そんな笑うしかないほどの悲劇だったのではないだろうか・・・・・・。

●ジョアン・アレンが同じく「母」を演じ、アメリカの「家族」を扱った『ボビー・フィッシャーを探して』。『アイス・ストーム』と並ぶ傑作。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)けにろん[*] ジャイアント白田[*] きわ[*] ボイス母[*]

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