[コメント] モスラ3・キングギドラ来襲(1998/日)
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暴虐なキングギドラが帰ってきてくれたからこそ、全てを無意味に破壊し尽くす破壊神としての彼を期待してしまうのだ。大人だ子供だというのではなく、人間を殺戮するに何のためらいもないギドラを(子供向けだから無理なのは承知)。事実、動きの不自然さは別として、大森ギドラや金子ギドラを遥かに凌ぐカッコ良さを誇っていたのだから…。
タイムパラドックスのことは眼をつぶろう。少なくとも、『ゴジラVSキングギドラ』はSFだったが、この映画はサイエンス抜きのファンタジーなのだから。だが恐竜を無慈悲に貪り喰らうなら、(あの恐竜はこれが東宝特撮かと泣けてきた、実際!)子供をドーム状の生け簀(?)に一端集めておくとはどういうことか、と言いたくなる。思わず『マグマ大使』のゴアに飼われている子供たちの部屋を思い出してしまったよ、オジさんは。
しかし許そう。これは目的不明だったエリアス三姉妹の目的を見出す物語なのだ。勇気をベルベラが、知恵をモルが、愛をロラが(彼女が建みさとに代わったのは痛かった!山口紗弥加は誰よりも愛を体現していたのだから)象徴し、ともにモスラに力を与えることによって、生きとし生けるものの守護を行なう、ということ。モルにベルベラのことを説明される前に、子供たちの長兄がその性格を言い当てていた、というのは案外多くの長子たちにも理解されたのではあるまいか。彼女らエリアスのとった行動について口を挟む気はない。彼女らは己の信ずるままに行動し、戦ったのだから。
今回も見事に登場しなかった自衛隊をはじめ、文句を言い出せばキリがない。だが俺としては悪人というものが出てこないこのシリーズをそうけなす気にはなれない。「生命賛歌」だったんだと思うよ、この連作は。
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