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[コメント] 明日に向って撃て!(1969/米)

「おれは自由の身 それだけで怖いものなしさ」(B・Jトーマス)

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







これはこの映画の主題歌「雨にぬれても/ビリー・ジョー・トーマス」の歌詞の中の一節である。

そしてこれこそがこの映画の全てを要約していると言っても過言ではない。

「ブッチ」と「キッド」の二人は強盗団を率いて次々と列車や銀行を襲うが、 やがて窮地へと追い込まれる。そして執拗な追っ手をかわしようやく辿り着いた 新天地「ボリビア」であったが、ここでも彼らは懲りずに犯行を繰り返すのだ。

堅気となって普通に働き日銭を稼ぐという生活が決して不可能なわけではない。 それでも彼らは銀行を襲うのである。それがどんなにリスキーな行為であるかということも十分承知しながら。

銀行や列車を襲い大金を奪う。美味い酒を飲みいい女を抱き金を全てバラまく。 間違っても賢い生き方とは言えないが、それが彼らにとって最も「自分らしい」生き方であり、最も「自由」な生き方なのかもしれない。

しかし彼らにも遂にツケがまわってくる。銃撃戦の末、共に負傷し逃げ込んだ建物を警官隊に完全包囲され絶体絶命の危機。だがそんな中ブッチは呟く。

「次はオーストラリアがいい。女も銀行もたくさんだ。」

そこに恐怖など微塵もない。

そして二人は更なる「自由」と「フロンティアスピリット」を胸に最後の時を迎えるのである。これ程「ポジティブな死」が他にあるだろうか。

(評価:★5)

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