[コメント] 女盗賊プーラン(1994/英=インド)
僕が期待していたのは、本作が描かなかったソレカラの物語。「いよいよこれから!」なところでのラストだったので、「これまで生欠伸はどうしてくれんの?」といった印象。
原作なる伝記も未読だし、そもそも、プーラン自身についても去年暗殺されたニュースくらいしか知らないので、鑑賞後帰宅してネットで検索してみたが、本人が来日公演している際にも本作が上映されていたりするので、プーラン本人もそれなりに認めているのだろう。
しかし、どうだろう、この「伝記映画」は。
確かに、女盗賊としての武勇伝、ヒーローめいたエピソードは、マスコミの先導によるもので、プーラン自身は、インドの低カースト層において極普通の女性であり、あらゆる虚飾を排した、いわゆる「等身大」の彼女を描きたかったのだろう。それは、いい。
だが、この映画を観る限りでは、度重なる男の性暴力と、それでもたった一人愛した男性によって、彼女があの数奇な運命をたどったようにしか思えない。田嶋先生が喜びそうな着眼点だ。きっと行動原理はそうなのだろうけれど、ただその過程だけを延々2時間繰り返すのは、いかがなものだろう。他にも、きっと様々なエピソードがあっただろうし、そこが省かれている分、彼女の取るその後の残虐な行動に、何らシンパシーを感じ得ないし、低カースト層の支持を集めた理由もいまいち理解できなかった。
ある意味「誠実」なのだろうけれど、本当に「等身大」なのか疑問が残る。 とにかく、この映画を観てプーランに関する何かを知ったとすれば、要は「男が悪いのだ。女は男の性奴隷。そこから『プーラン』が誕生した」くらいなものだろうか。とにかく、インタヴューなどを読んでみると、この映画の後日談を是非観てみたい気がするのは、確かだ。
やっぱり西欧資本のせいなのかなあ?
〔★2.5〕
[with guko/シネ・ヌーヴォ/1.22.01]
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