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[コメント] ウェディング・シンガー(1998/米)

ドリュー史上、最高の可愛らしさ。その笑顔はもう反則スレスレ。しかし内容がいくら何でもあざとすぎる。客をノセるためにラブコメは多少わざとらしくてもいい。でもあざといのはダメだ!
mize

 …と叫んでみましたが、別にラブコメの定義なんて深く考えてみた事もないし、そんなモノがあるのかも謎。でもこのラブコメは目一杯詰め込まれた80年代の小道具でギュウギュウなくせに、肝心のストーリーに何のオリジナリティも感じられない! ポリシーがない! 目新しかった所といえばウェディング・シンガーという職業を題材にした部分だけか。

 人の幸せを祝福するのが仕事というウェディング・シンガーが、自分の結婚式をドタキャンされて不幸になってしまう…という序盤の展開は良い。そしてこの職業を題材にするなら、当然出てくるべき「片想いしている彼女の結婚式で歌わなきゃいけない」という胸キュンな設定もまた良し。でもこの脚本家には「観客をこの恋愛でドキドキさせたり、泣かせたりしよう」という心意気が感じられないのだ。

 友人にそそのかされて「キスの練習」させられるだぁ? それは『恋しくて』(87年)じゃねえか! 『恋しくて』観てなかったらキュンとしたかもよ? でも観てるし今は80年代じゃない。時代設定が80年代だからって内容まで80年代のまんまじゃいけないよ。他にもプレイボーイの友人がふと漏らす弱気な発言は『スプラッシュ』(84年)のジョン・キャンディの台詞まんまじゃねえか! 等々、絶妙というにはしつこすぎる程に配された80年代の小道具・楽曲ともども、この映画が借用させてもらった80年代のラブコメ映画の設定を数えあげてもキリが無さそうな勢いだ。(イヤミったらしく製作年も明記してみた)

 その80年代の小道具っていうのもね…あまりにもワザとらしすぎる。80年代が舞台なんだから、登場人物たちはもっと自然にその時代を生きてるモンだろ? いかにも「コレが80年代の風俗だったのよ」てな説明台詞や小道具の登場の仕方にどうも引いてしまう。大体、詰め込み過ぎだよ。溢れんばかりじゃないか。

 いつもなら話に登場する人物の振る舞いに怒ったりしてるんだけど、この映画の登場人物たちはそもそも生きてない。そりゃドリューは輝くような魅力を放ってはいるけど、製作者たちから見ればキャラクターもストーリー展開もケーキの土台のスポンジぐらいの意味しかない。なんでもいいのだ。その上にゴテゴテ盛りつける80年代の雰囲気を醸し出す小道具や歌、こっちの方にばかり力を入れている。

 もし意図的にそうしてるなら仕方ないが、この映画は内容ひっくるめて全てが80年代的だ。でもそんなのは80年代へのリスペクトじゃない。80年代の人たち(とくにジョン・ヒューズのオジサン)は本気でこういうラブコメを良かれと思って作ってたんだ。その点、コイツらにはラブコメやろうって気合いと愛情が感じられない。ラブ&コメディなら私を泣かせてみろ! 笑わせてみろ! 借り物のラブコメじゃ力不足だ。

(と息巻きつつも★3なのはドリュー1人で★5を稼いでいるから。ドリューがいなけりゃ★2。彼女の笑顔だけでも観る価値はあったりする)

(評価:★3)

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