[コメント] ペイルライダー(1985/米)
その時どきにおいて自分が観たい映画を本能のおもむくままに撮るのだというイーストウッドの映画的感性の豊かさには本当に恐れ入るばかり。本作はそんな彼の作品群においても最も美しく、また最も端的に彼の映画の魅力を伝えてくれる究極の1本である。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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主人公である「牧師」は『荒野のストレンジャー』の主人公につながるこの世のものとは思えぬ怪しさを備えもつと同時に、舞台となる地にひとつの奇跡を起こす象徴として存在するのだが、イーストウッドお得意のそういった造形を盟友サーティーズのカメラは、それこそが奇跡とも言える美しさでより効果的に導き出していた。
また、クライマックスの1対7の決闘の鮮やかさ。『ガントレット』のような銃撃の妙もあれば、このように限られた弾数と音だけで魅せるイーストウッドの妙技。
さらに、最後保安官が牧師に撃たれて作る背中の傷が序盤に牧師の背中に見える傷跡とほぼ同じ形だという辺りも、牧師の保安官に対する怨念の深さを表して見事。
こんなことを言い出したら本当にキリがない。大傑作とはまさにこの『ペイルライダー』のような作品のことを言うのだろう。何度観ても興奮してしまう作品。
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