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[コメント] アラモ(1960/米)

アメリカにとっては「貴重」な負け戦を描いていても悲壮感が全く無い。違う、やっぱりこの国は違うと再認識。J・ウェインの怒りはヒッピーへ・・
sawa:38

日本ならば「オキナワ」を題材にとれば、誰が撮っても悲壮感溢れる作品になるだろう。あの岡本喜八でさえそうだった。いや、日本が特別なんじゃない。ドイツでもフランスでも、どこだって同じだろう。

いや、ちょっと待て。ソビエトの、中国の戦意高揚プロパガンダ映画ならありそうだ。

そうか、これもアメリカ人が国家の下に団結するためのプロパガンダ映画なんだ。

屈辱をバネにアメリカ人は立ち上がり、見事に難敵を打ち砕いていく。「アラモ砦を忘れるな!」完璧なスローガンが生まれる。後にアメリカが「真珠湾攻撃」という新たな屈辱を経験するまで、この言葉が一級のスローガンだった。

そしてアメリカは次なる「負け戦」に直面する。「ベトナム」である。この映画はそんな時代の作品である。「愛国者」の代表格であるジョン・ウェインは、そんな状況だからこそ立ち上がらなければならない男だ。

そこには悲壮感などが微塵もあってはならない。戦友の屍を踏み越えて銃を取るべきなのだ。女は砦に残り、黒人奴隷すら銃を取って立ち上がった。

国内で反戦運動を繰り広げるヒッピーたちに対し、ジョン・ウェイン監督の怒りが伝わってくる。

何故にここまで悲壮感がないのか?彼は知らな過ぎたのだ、婦女子が戦闘に巻き込まれる戦争を。さらに言えば「アメリカの婦女子」が蹂躙される危険が無いことを知っているからこそ、あそこまで熱狂的な愛国者でいられたのだろう。

(評価:★2)

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