[コメント] レット・イット・ビー(1970/英)
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実に下手糞なリハから始まる訳で、これがオールディズで肩慣らししてエンジンがかかりだし、セッション重ねる度に思わずと云った具合に熱がこもっていき、ルーフトップ・コンサートでは見事に充実した音になる。この過程を映画は意図的に編集しただろうか。多分そうではなく、このまんまだっただろうと思わされる。
冒頭ではハチャメチャなDon't Let Me Downが屋上では完璧になっている。ただ、屋上でもGet Backでのジョンのリード・ギターは外しまくりだ。最後のジョンの有名な「オーディションには合格したかな」とは、一般に云われるこの企画に向けられた皮肉、というよりも、自分のギタープレイへの自嘲に聞こえる。
楽曲が完成形に向かうドキュメント、とはストーンズ『ワン・プラス・ワン』(68)の方法そのまま(あちらは一曲だけだが)。興味深いことに、ゴダールが付加したブラック・パワー演説に対抗する描写として、本作にはルーフトップ・コンサートへの警官隊突入がある。屋上で奏でられるのがジョンのソロ曲だったら、もっと趣旨は鮮明になっただろう。ビートルズの楽曲はその点途中経過の印象が残る。
映画が生演奏、レコードはフィル・スペクターの編集、として聞くと、フィルが何を採用して何を不採用にしたかが判ってとても面白い。Two of Usのアウトロのジョンのノンシャランな口笛は、いいメロディだけ繰り返して採用されているし、上記のジョンのギターは当然差し替えられている。
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