[コメント] リトアニアへの旅の追憶(1972/米)
眠くなるほど遠い過去の記憶と、今目の前にある風景と、そのどちらもが自分の現在の一部分であるにもかかわらず、その両方を捉えられるのは自分一人だという、切なさと孤独の囁き。
メカスは自分だけが特別孤独だと言っているのではない。ここにあるのは、誰もが持っている類のこの孤独が、もしかしたら映像ならば伝えられるかもしれない、という慎ましい期待であり、時間にも場所にも縛られることなく存在できるはずの、人間の記憶と思考の姿だ。昨日のことも、今日のことも、全てが同じだけ、近くて遠い。
私はこれを見て、なんだか初めて他人と出会ったような思いがした。それですっかり安心して、この柔らかい露出オーバーの光と、他人の記憶の中にもぐりこんで、眠ってしまいたかった。
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