[コメント] 鳥(1963/米)
突然TVゲームの話をしてしまうが今の3Dフルポリゴンの鮮明な画像と 音、SE、音楽は制作者自身への「騙し」のテクでしかないと思う。 今のゲームを昔のファミコンに逆移植したら殆んどは救いがたい作品になってしまうだろう。
映画もこれ。華麗なCGや派手な音、(最終的にはまとまるのを前提とした)複雑な伏線と人間関係のからみ、魅力的なキャラクター、等々こういう「騙し」テクは一回全部取っ払ってだな、この作品クラスの簡単なものにしてくださいな。
例えば、ビルの屋上から落ちそうなシーンがあったとしよう。最近の映画だと ビルの端に追い詰められた主人公を背中から追いながらアップ(効果音ドーン)、そこからヘリでは撮れない猛烈なスピードで回転しながら引くカメラ、実は凄い高層ビル(効果音ドドーン)、追い詰められて焦った演技の主人公のどアップ(ピンチな音楽ドンドコドンドコ)---合計10秒のシーンって辺りだろうか。
これをこの作品風にすると ビルの端に追い詰められた[主人公の視点]で下界を恐る恐る見るカメラ、突風らしき風の切る音、よろめく主人公視点のカメラ。ビルの端から落ちそうな靴のアップ、真剣な主人公の顔、もう一度ビルの端から落ちそうな靴のアップ---合計1分30秒のシーン
前者はあくまで客の飽きを無くする為カメラの固定は少ない、さらに効果を高めるため音楽とSEは欠かせない。結果、時間もゆっくりは出来ない。後者は客が主人公の感覚(ビルから落ちるかもしれない恐怖)になるようにカメラが主人公から離れないようにしている。
人がビルから落ちそうになっている派手な映像を見るのと自分が落ちる感覚になるのとでは桁が違う。この『鳥』に音楽が無いのはビルから落ちるかもしれない恐怖を味わっている当事者の後ろでのん気に音楽がかかっているのは変だからっていうのもあると思う。(ある意味実際に火事の時とかいきなりピンチの音楽がかかると恐怖は和らぐかもね、いや逆効果でかえって怖いか?)
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