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[コメント] ホーホケキョ・となりの山田くん(1999/日)

なれ〜るかな か〜っこよく おかねも〜ちに〜♪

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ケッセラ〜セラ〜!なるよ〜に〜なる〜 あしたはみえない〜 おたの〜しみ〜♪

↑私には皮肉に聞える。所詮アンタらの夢だの希望なんてその程度のものだったのだろう?と言われているような気がする。

この監督の(『火垂るの墓』以降の)映画には、時にゾッとするようなニヒリズムを感じてしまう。これを能天気な反動映画として見れる人はしあせな人なのではないか。監督自身この映画に描かれているような日常なんて本当はこれっぽっちも信じていないのに、それでもそこに留まるしかないだろう?とでも言われているような気がする。何よりゾッとするのは、暴走族にタカシが注意しに行く場面。何でこんなヤになるようなものを(ヤになってしまうふうに)描くのだろう。監督は「“癒し”よりも“慰め”を」ということを語っていたらしい。それには共感するけれど、それでは果たしてこのマンガ映画は今の観客に“慰め”になるだろうか。これよりならむしろガキの頃に見ていた「おじゃまんが山田くん」の方が、脱力系の日常を肩の力を抜いて教えてくれていたような気もする。“慰め”にもなってたかも。

アニメーションの実験としては得点高いが、フィルムで観たときは余白が圧迫的に感じられて息苦しくさえあった。観客の少なさも相俟って、画面の異様な白さは薄ら寒くさえ感じられた。OPとEDの躍動感には注目。

ちなみに、この映画の企画を先導していたのは専ら鈴木敏夫プロデューサーの方であったらしい。原作者も驚いて呆れてしまうような企画も、氏にとっては長年暖めてきたアイデアであったらしい。(勿論、結果として出来あがった映画も“お寒い”には違いないが、その“お寒い”カンジは、単に時代錯誤というよりは今高畑勲が映画をつくり続けることの宿命なのだと思う。)

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)3WA.C[*] coma[*] ペペロンチーノ[*]

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