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[コメント] 双生児(1999/日)

何よりまず、乱歩文学に社会正義やヒューマニズムを持ち込むっていう、その思い付きが信じられない。そういう馬鹿げたことを、あの『鉄男』の塚本晋也がやってしまう、ってことがもっと信じられない。
町田

それが「乱歩らしい」なんて云われてしまうんだから、乱歩は今や、全然読まれていないんだなぁと、少し哀しい気分になる。

いや、技術的には全然問題ないのだ。入れ替わった本木が角砂糖をパクっと飲み込むシーンや、りょうの脇の下から顔を出すシーン(*細江英公の写真集「男と女」からの引用であることをあとで知る)なんかは本当に素晴らしいし、省略技法やサスペンス醸成、鏡像の使い方(黒沢清なんかより数段上手)なんか唸るほど巧い。だが、貧民窟シーン以降、脚本が一気にうそ臭くなるから、せっかくの本木の怪演も、りょうの熱演も、もの凄く阿呆臭いものに見えてしまう。眉毛も白メイクも単なる茶番と映ってしまう。ラストの石橋蓮司を使ったシーンも、云いたいことは判るが、馬鹿馬鹿しいにも程がある。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)赤い戦車 けにろん[*]

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