コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 宇宙人東京に現る(1956/日)

色彩指導が岡本太郎だなんて、今聞くと「何て贅沢な!」という印象さえある。
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ちなみに原案の中島源太郎は、故郷の群馬では有名だった元文部大臣。以前新聞で「SF映画の原案も手掛けたことがあり……」という紹介がされていたが、果たして地元群馬でこの映画だということを知っている人はどれだけいるのやら。それはさておき、本作は日本初の総天然色SF映画なうえ、色彩設計が岡本太郎というのは実に興味深い。どういうことをアドバイスしたのかは不明だが。

 映画全体としてはSFとしてより、前半のほのぼのとした雰囲気の方が気になる。それから話がどんどん広がって、新天体R地球衝突で大騒ぎという風にスケールが大きくなって行く、という面白さはある。予算は相当額か継ぎ込まれたらしく、エキストラが逃げ惑うシーンなんかはかなり頑張って作っているので気が抜けない。

 だがそれだけに、ラストで話の矛盾が出てしまうのが惜しい。平和を好む宇宙人・パイラ人は核兵器の廃絶を訴え地球にやって来る。さらに科学者が書き記した、危険性の大きな核物質ウリウムの方程式を見つけた途端に破り捨てる。それはいいのだが、問題はその後。パイラ人は新天体Rを破壊する為に、そのウリウムを利用する。その際、先の科学者に「方程式を教えて下さい」と言ってくるのだ。

 ……このつじつまの合わなさは何だろう?「何で貴方達はこんな危険なものを!」と言ってビリビリ破いた意味がまるで無いのだ。せめて「ウリウムを使うのはこれが最後です。その掟を破った時に、人類には破滅が来るのです」とか、そういう流れにしたら上手く繋がったとは思うが、そういう台詞は無い。ちょっと残念である。

 まあ話はともかく、とにかく斬新なデザインのパイラ人は今見ても面白いです。字幕付きのやりとりも笑えます。「どうだ、我々の意図は地球人たちに伝わったか?」「それがダメだ、地球人は我々を見ると逃げ出してしまう。まるで恐ろしい物でも見たかのようだった」「何?我々はそんなに醜いのか?それとも奴らはそんなに美しいというのか?」「とんでもない、彼等のいう“美しい”とはこれだ」(と、採取した写真を見せる)「……これが地球人か、何て顔だ」「真ん中に突起物がある。これが美しいとは地球人も哀れだな」

 ……何で覚えてるんだろ、俺(笑)。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)直人[*] べーたん

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。