[コメント] バンド・ワゴン(1953/米)
フレッド・アステアが落ち目の芸人、という冒頭。シド・チャリシーが気取ってつんつんしてる、という誤解。アステア映画の常連二人が、お気楽にアステアを応援するほほえましさ。どこからどこまでニヤニヤ、クスクス、幸せにしてくれる映画。
誤解がストーリーを動かして、その誤解が解けていくのが、アステア映画のおきまりではあるのですが、この映画は特にそれが気持ちいい。アステアとチャリシーがお互いに抱いていた誤解が、するっと解けて、笑いアンド歌アンド踊り。その後もう一回。芝居がめちゃくちゃになって、どうしようもなくて、笑いアンド歌。そして演出家の誤解も解けて。
特に私が好きなのが、アステア映画ではおなじみの俳優が演じる、気のいい脚本家夫婦。観客は、映画の中の友情だけでなく、いつものアステアの仲間たちの友情さえ感じて、きっとうれしくなった。
同時代でアステア映画を見られなかった私たちだけど、この映画を最後のピークとして、アステアらしいアステアは消え、あのころの(いわゆる『ザッツ・エンターテイメント』シリーズに出たような)ミュージカル映画は消えたことを知って見ると、いっそう愛惜の念は募る。
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