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[コメント] 無防備都市(1945/伊)

残念だが、これはただのフィクションである。
sawa:38

残念だが、これはただのフィクションである。

連合軍によるローマ攻略直後に記録映画として企画され、途中から劇映画とされたという経緯から、ドキュメンタリー的要素を多分に含んだ作品だと喧伝されている。「ネオ・レアリズモ」と敬意を持って絶賛され、ロッセリーニの名を世界的に知らしめた作品でもある。

だが、実際はどうか。ただの一片もドキュメンタリーの映像など挿入されてはいない。そのすべてが演出された役者の映像である。

描かれる神父やトラックを追いかけて射殺される女性などは、それぞれ実際のモデルとなった人物がいる為、この作品を正確に言うならばノンフィクションと言うべきである。

ローマが解放されたとはいえ未だイタリア北部では戦闘が続く戦時中の作品である。それが映し出す戦時中のローマ市内は、当時としてはどの街角を撮っても「リアル」には違いない。ただしそれをもって「リアリズム」というのはこの作品を過大に評価し過ぎである。評価すべきは混乱の中にあって映画を製作したスタッフの映画魂を評価するべきである。

映画技法的にも現代からみてしまうと、特に特記するべきものは何も無い。

あえて特記するとしたら、本作品を見たイングリッド・バーグマンが感激のあまりロベルト・ロッセリーニに手紙を送り、それが縁でふたりが結ばれたということぐらいであろうか。

(評価:★3)

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