[コメント] 梟の城(1999/日)
今現在の、これが限界? それとも監督の力量不足?
かつての娯楽時代劇の伝統に阿らず、時代劇を今に通じるエンターテイメントとして創り出そうというこの映画の製作意図は分かる。だがその目論見は失敗しているように思う。脚本は人物を配置するだけで彼(女)らが何故そこにいなければならないかを描けておらず、CGによる安易な画作りは実際の画面からアクション本来の躍動感と細部への配慮を排除してしまっているように見える。
63年製作の『忍者秘帖 梟の城』は本作と同じ原作からなる娯楽時代劇だが、戦闘シーンや敵地への潜入シーンでは如何にも忍者映画的な小技を利かせた演出できっちり見せてくれていた。プログラム・ピクチュア時代の良質さを受け継いだそれらの映画と、一本立て映画として良質さプラスαが求められる現在の映画を直裁に比べてもしようがないのだろうが、見た目の豪華絢爛さや表層的視覚効果に拘泥するだけでは真っ当なエンターテイメントにはならないのだということだけは確かのように思えた。このつまらなさは現在の邦画が置かれている環境の限界なのか、監督の力量不足の所為なのか。
素人なら素直にひとこと感想を言えと言われるのなら、「つまらなかった」としか言えない。金と時間をこの映画に使いたくない。
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