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[コメント] DEAD OR ALIVE・犯罪者(1999/日)

ぶっちゃけうんこが足りない。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 三池崇史の映画に過度に見受けられる「三池臭さ」が他作品に比べてかなり抑えて作ってあり、割とスムーズにクライマックスまで観ていくことができます。恐らく竹内力のアクの強さも相殺の効果を発揮してる。僕が今まで三池の作品を観たことがなかったなら、ひょっとしたら★4まで付けてたかも知れません。

 ただ残念ながら観ちゃってるんですよね。で、それを観た上でこれを観ると、どうしても「あぁ、これのここがウケたから、そこを引っ張って今に至るんだな」という筋道が見えてしまい、何だか知らんが「イラッ」とするんです。

 じゃあその「三池臭さ」って何かって考えると、僕は「垢抜けない露悪趣味」だと思っています。僕自身バイオレンス映画は大好きだし、露悪趣味もガンガン来い!ってタイプではあるんですが、この人がやらかすのって何だか「どこかで観たことあるようなそれ」なんですよね。今作で言うと腹からブチまけるラーメンとか、大杉漣の「やん」って名札がそんな感じ。ラストのバズーカと元気玉もそうか。

 もちろん最後にあんな風に卓袱台ひっくり返すなんて想像もしていませんし、ビックリして笑いもしました。ただそのひっくり返し方のみを改めて突き詰めると、どうにもちょっとイモ臭い。何となく想像したことあるような景色なんですよ。実際『ドラゴンボール』やシュワルツェネガー映画で観た景色だし。それがパロディならパロディでいいんだけど、それでいてこの人「どうだい、俺の叩き付ける下劣の極み」みたいなトーンがあるから、恐らくそこに「イラッ」とするんでしょうね。

 最初に書いた通り、今作ではそのイモ臭さはかなり低めになっているように思えます。ただ後にそれを看板として、安い血と安いCGと安い内臓で「ロケンロール!」みたいな顔して作品を作っていく三池崇史がどうにもイヤなので、結局今作のイモ臭い下劣さにも過度に反応してしまっているんでしょう。

 そうやって考えたとき、今作で一点だけこちらの想像を突き抜けていたのが石橋蓮司甲賀瑞穂の「うんこプール」のシーンでした。あれだけは想像したこともなかったし、ホントにド肝を抜かれるくらい下劣だった。しかもサラリとスマートにやらかしてるから、あのシーンだけちょっと突き抜けていたように思えます。あのテンションで一本撮り切ってくれてたら、僕も三池信者になってたかも知れないのになぁ。うんこ出しゃいいってことじゃないんだけど、もっと下劣なことをもっとスマートにやらかして欲しいなぁと思うわけなのです。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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