往年の名スター勢揃い、とか言われても、俺は俳優には疎い上に、現代っ子なので、特にコレと言って興奮も期待も感じない。あ、コレ映画ファン失格なのかな。

名前こそ知っている物の、出演作品は大して知らない、と言う程度。この作品だって、「名作」と呼ばれているから一応見に行っただけで、さして期待なんてしちゃいなかった。第一、家に帰ってＰＣ開いてシネスケを見て平均評価が★４を超えていて、一人で驚いていたんだし。

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で、まぁ上記の理由で俺は気が乗らないのだけど見に行った。この手の映画って上映時間長い上に、肌に合わない奴はとことん合わないから、途中に集中力が切れて便所に行きたくなったりするから、あまり見たく無いんだよなぁ。ただ、本作はその心配は無用だった。別段、コレと言って心配するまでもなく、最後まで飽きる事なく見る事が出来、とりあえず退屈はしなかった。とりあえず、はね。

飽きこそしない物の、全然面白くなく、ただ３時間ぼーっとスクリーンを眺めていただけ。それ以上の収穫はなく、アドベンチャーとしての興奮も、脱走物としての緊張感も、戦争アクションとしてのカタルシスも、そして「実際に５０人が殺された」と言う事実の重みも、悲壮感も何も無い。

あるのは、往年の大スター達がスクリーンを駆け抜けるその勇姿のみ。そんな物見たくて俺は“映画”を見に行ったんじゃない。勿論、映画ってのはそう言う要素も大切かもしれないけど、俺は「名作」と呼ばれる映画を見に行ったのであって、大スターが活躍する姿を見たかった訳じゃない。――ので、★１でも良いのだけど、奇跡的に３時間の間に飽きなかった驚異に免じて★１つおまけ。ま、テンポは凄く良かったしね。

アクションシーンに興奮できなかったのは、単純に物語が詰まらん、と言うのもあるのかもしれないけど、それ以上に、時代だから仕方が無いかもしれないけど、リアリティが無いんだよなぁ。スティーブ・マックィーンなんて、ただバイク乗ってるだけじゃん。草原を駆け抜けるのは画として確かにカッコイイのだけど、ナチもさっさと撃ち殺せよ。随分ずぼらな軍隊だな。

収容所にしてもそーだよ。まぁ所長が人情溢れるオッサンだからか知らんけど、やけに警備兵がやんわりしすぎてる。ホントに収容所かよ。第一生活臭が全然無いんだよな。ま、コレも時代か。

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確かに登場人物同士の掛け合い、それぞれ個人の役割をこなしていく過程は小気味良く描かれていて面白くもあるのだけど、描かれるのは基本的に「役割」であって、人物の個性ではない。ので、ドラマは一つとして盛り上がりを見せない。コレで不朽の名作って、俺は信用できねぇぞ。

人物一人一人に心揺さぶるドラマが無い。描かれても表面をなぞった程度。コレじゃ緊張感もカタルシスも感動も無いわな。

一応この作品は「アドベンチャー」と言う面が大きく作られているのだろうから、シリアスな部分は期待できない、として括って良いのかもしれないけど、それって能天気過ぎないだろうか？

実際に５０人死んでるんだぜ？いや、戦時下だからそれだけじゃないはずだ。実際に脱走を試みた人たちが、脱走をゲームとして考えていたかどうかは知らんが、仮にゲームだと考えていたとしても、一人一人にもっとドラマがあったはずだ。人間の人生って映画で描ける程単純なドラマじゃないはずだ。第一、お前ら妻子に関する悩みを一人も持ってない、ってのも、また随分と硬派な生き方してるんだな。

娯楽として割り切ればドラマを排除しても良い、と言う事は無いはずだ。俺があの５０人の一人なら、こんな糞映画捧げられたら怒り心頭だぜ。あの「休憩だ」と野原でトラックから降ろされて機関銃で射殺されるシーン。悲しみも、怒りも何も無い。おいおい。客の心動かす気ねぇのかよ。あ、動いてないの俺だけか。

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と、堅い事言うような映画じゃないのかもしれないけど、実際、脳みそすっからかんのアクション映画、として考えて鑑賞しても面白くねぇんだよな。その辺りは時代って奴なのかも知れねぇけど、ドイツ第三帝国軍人の方々やゲシュタポの面々も、これまたとことん間抜け。まぁ、そんな訳で逃避行にも緊張感が全く無い。ダラダラダラダラ。

分からん。俺にはわからん。

ま、不思議と退屈しなかった事が唯一の救いと言うか、収穫と言うか驚きと言うか。

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能天気に戦争を描く事も結構だし、それをアクションやアドベンチャーとして変化させて娯楽にしてしまう事は大いに結構だし、俺もそういうのは良いと思う。

でも、興奮できないアクション映画を、アドベンチャー映画を評価なんて出来ない。