[コメント] 機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編(1982/日)
兵士「80%? 冗談じゃありません。現状でジオングの性能は100%出せます」
シャア「足は付いていない」
兵士「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」
シャア「使い方はさっきの説明でわかるが、サイコミュな、私に使えるか?」
兵士「大佐のニュータイプの能力は未知数です。保証できる訳ありません」
シャア「はっきり言う。気にいらんな」
兵士「どうも。気休めかもしれませんが、大佐ならうまくやれますよ」
シャア「ありがとう。信じよう」
という脇役史上最高の名台詞だけで5点。
このシーンに限らず、3部作を通して、スパイのミハル、補給部隊のマチルダ、連邦の無能な上層部であるゴップ、さらには学徒動員のパイロットまで、脇役までが主役クラスを食ってしまえるほど濃密に描かれている。国産のくっだらないステレオタイプの戦争映画を観るよりだんぜんメッセージ性も高い。空想が現実を超えた希有な作品。奇跡的な作品である。
こんな歴史的作品について今さら言及するのもアレなんだけど、個人的に無印ガンダムは劇場版のほうが好き。ニュータイプへの言及(黒い3連星とかレビルの描写)、商業的な理由で登場したGファイターが出てこない、無駄なエピソードが省かれてる(ククルス・ドアンとか)、と、テレビ版より劇場版のほうがスマートだから。
それにしても設定が恐ろしいほど作り込まれてる。ミノフスキー粒子の発見→モビルスーツ同士の白兵戦、連邦とジオン→地球圏とスペースノイドとの戦い、試作機と量産機→エースパイロットと一般兵の差異、などなど。ご承知の通り、後年、ガンダムの設定はどんどん後付されていくわけだけど、これだけ魅力的な素材があれば、そりゃいじりたくなるわな。
そんなこんなで、従来の「SFロボットもの」から、新たに「ガンダムもの」というジャンルを創出した化け物作品の系譜は、現在にまで脈々と受け継がれているのだが、悲しいことにZZ以降は自信の劣化コピーを繰り返している。富野監督の手を離れてる部分もあるから仕方ないのだろうけど。願わくば全カット新作のZ3部作を観たいのであります。
「気休めかもしれませんが、監督ならうまくやれますよ」
うまくやれなかったんだけどね。
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