[コメント] ノスタルジア(1983/伊)
キャメラのゆっくりとした移動やズームに、我々の呼吸が深く、静かにシンクロしていく。それが心地よい。頭が澄明になり、視覚がクリアになる。客観性の象徴としての鏡、親和性と媒介性の象徴としての水、意志の象徴としての火の喚起力が凄まじい。
アレクセイ、ドメニコこの二人の男は、映画の始めから終わりまで同じ衣装で貫き通す。貫き通すこと、それは志の持続であり、未来への意思を表す。その未来への意思とノスタルジア=ロシアへの懐古とが矛盾しないところにアンドレイ・タルコフスキーは立っている。
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