[コメント] 会議は踊る(1931/独)
劇中、ウィーン娘がロシア皇帝アレクサンドル1世の城(宿舎)に向かう途中馬車上で歌う‘ただ一度だけ’は、全く素晴しい歌曲だ。ただ異な感じがした。
この歌曲の原題は‘Das gidt's nur einmal’であり、直訳すると「それはたった一度だけ起きる」(gidt's=gebenの変化形で、英語ではgive)となる。作詞(liedertexte)はロベルト・ギルベルトとロールにある。
異な感じがしたのは、詞の中に「人生に一度だけ」「二度と戻らぬ美しい思い出」「青春の花咲く時」etcという言葉があるからだ。愛真っ只中の娘が唄う詞だろうか。この詞は青春をはるかに過ぎ去った(失礼!)ロベルトが2人を見て(試写を見て)感じたことを詞にしたからだろう。
そういえばこの歌を歌うシーンがもう一つある。それは、ラストの酒場だ。店主も客も皆が唄い、一人呆然と佇むウィーン娘に捧げるシーンだ。そう、これがこの曲の正しい使い方です(笑)。
少し調べてみると、アレクサンドル1世はこの時36歳。(結婚は16歳)。男前で考え方、立ち振る舞いも若々しく、この会議そしてその社交界でも、話題の中心人物だったらしい。この映画のような事もあったかもしれない。
その後彼は他の国の王になったりと数奇な人生を送るが、10年後47歳で夭折している。侍従相手に、あの時は楽しかったなぁと言ったかどうかは残念ながら、記録には残っていなかった。
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