[コメント] 雨あがる(1999/日)
まさに小品。
本音を言えば、思い描いていたよりもさらに小ぶりな映画でした。けれど観ていて黒澤明を感じられるよく出来た映画でもあると思います。骨と肉をもった血の通う具体的な人間を描こうとしているのに好感抱きます。
殺陣は、きっちりと背筋の通ったものを見せてもらえたように思いました。映画の主題を象徴するようなキラリと光る美しい日本刀を拝めてよかったです。サッサッを血を払い、鞘に収まる日本刀。つゆを払い、邪気を払って、一人たたずむ居住まい。格好いいです。(それでも居合いに通じている人から見ればまだ甘いところはあるそうですが。)
雨があがるのは、雨が降った後なのです。雨は川を濁流で充たし、屋根を撃ちつけ、人の足を泥濘にからめとる。本来それは遍在する怒涛なのです。なめちゃいけません。
でも、そっと付け加えて言えば、「時代劇を撮ろうにも侍を演じられる顔がない」というような黒澤監督の言葉が分かるような気もしました。役者の皆さんは頑張っておられますが。
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