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[コメント] 妖星ゴラス(1962/日)

見たかったのはマグマのMがマグニチュードに変わる瞬間。つまり嘘、大袈裟、紛らわしいものが真実、とてつもない、価値あるものとして輝くことであって。この映画からは最後までそのトキメキを感じることは出来ませんでした。
たかやまひろふみ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まさに「奇想、天を動かす」なアイデアは面白いし、宇宙船や南極基地の精緻なミニチュアなど特撮素人のわたくしでも目を見張ります。でも…やっぱりセイウチはイカンですよセイウチは。

何も見かけがチープ過ぎるとか、そもそもセイウチは爬虫類じゃーないだろとか、そういう野暮なことが言いたいわけではありません。見かけが安くても荒唐無稽でも構わない、その上で真に恐るべき災厄、脅威として描くことが出来ていたならむしろ賞賛したことでしょう。

このセイウチン、いや怪獣マグマですか、彼奴はそうした畏怖すべき対象ではありません。それは別に外見上の問題ではなく、与えられた役割が余りにも小さく軽いためです。登場したのも束の間、あっさり退治されてしまうし、以降の展開でプロジェクトにさしたる影響を与えるわけでもありません。まさしく何がやりたいんだコラ、です。

そうしたユルさ、いい加減さ、楽天的なところも含めて愛すべき映画なのだと言うのであれば分かります。例えば『アルマゲドン』は「杜撰」で、この『妖星ゴラス』は「大らか」と言えましょう。わたくしとて、どちらが好きかと問われたら圧倒的に後者と答えます。しかしだからと言って「杜撰」な前者より「大らか」な後者の方が遥かに完成度が高く勝っている!と宣言するのは躊躇われる、それは偏愛故の贔屓の引き倒しではなかろうかと思ってしまうのです。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ペペロンチーノ[*] アルシュ[*] sawa:38[*] すやすや[*]

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