[コメント] 妖星ゴラス(1962/日)
あと物語の中の時代設定は1980年代になっていた。今となってはそれも30年も昔である。そう思うと、大抵のことは古き良きSF特撮映画だからと許容できてしまう。
ただサントラが妙に伊福部昭の影響を受けていて、その基本メロディを中途半端になぞっているような音楽にはいささか興醒めする。
本作のあらすじを見るたびに思い出す漫画がある。今回、本作をようやく鑑賞できた事を記念して、はるか昔、子どものころに読んだその漫画がなんであったのかを探してみた。もちろん、インターネットで(便利になりました)。
最初は「石川賢 自転」で検索をかけたが見当たらず、次に「永井豪 地球 自転」で検索をかけて、それらしいものを見つけた。漫画そのものがネット上では閲覧できないので確認はできないが、ほぼ間違いないと思う。
その漫画とは、かつて秋田書店の「冒険王」という月刊漫画誌に連載されていた、桜多吾作版「マジンガーZ」(そういうのがあるんです)だ。そのエピソードの一つに「RI計画」というのが出てくる。日本列島に巨大なジェット噴出装置を多数設置して、それをいっせいに作動させて地球の自転と逆方向に力をかけるというものである。
おそらく著者の桜多吾作氏は本作の南極計画の影響を受けた世代ではないだろうか。そしてこの映画よりも、その漫画の方が印象に残っているのは漫画の方がより科学的だと思えたからだ。
漫画の中でも地球を逆転させるという事はできはしない。ただ莫大なエネルギーを費やして地球の自転方向とは逆向きの力を与える事によって自転のスピードをわずかながらずらす程度だ。
ところが漫画ではそのことによって、つまり地球の自転スピードは人間の感覚以上に相当な高スピードでありそれがホンのわずか遅れるだけで、地面と大気の摩擦、また慣性の法則の影響により、地球全体が強烈な嵐に覆われ、一瞬ではあるが人類に大打撃を与えるのである。
そう、「RI計画」とはドクター・ヘルとも袂をわかったあしゅら男爵(この辺もすごいところです)が独自に人類を征服するために、地球の自転に影響を及ぼして人類滅亡の危機をちらつかせて屈服を迫るという壮大な悪の計画なのだ。
この漫画を読んだ後だと、自転軸にそっているとはいえ、地球を動かすほどのロケット噴射をしながら地球そのものにさして影響が出ないという設定が、どうしても非科学的に見えてしまう。地球の自転にごくわずかな影響を与えただけでも人類に多大な打撃を与えた「RI計画」の前では霞んでしまうのである。
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