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[コメント] サルバドル 遥かなる日々(1986/米)

「モンロー主義」が現代のアメリカに脈々とつづいていることを、これだけリアルに、鋭く告発した映画があっただろうか?
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画で、一番印象に残っているのは、左翼ゲリラの攻勢に政府軍が押されそうになったとき、在留米人保護のための米軍出動を本国に要請するよう、CIA要員が大使に迫る場面。

その要請が、名目はどうあれ、実際には武力による内政干渉になるとわかっているからためらう大使に一言。「この国を失ったアメリカ大使として名を残しますか?」

たった一言の台詞が、鋭く現実を切り取る、その映画の力の凄さを感じた。

他にもこの作品は、他のコメンテーターの方が書いているように、報道カメラマンの姿や、左翼ゲリラの実相、「不法移民」の厳しい現実、さらに「解放の神学」など、かなり多角的、多面的に描いている。

ある意味、群像劇的な要素も持っているが、それだけ深く、よりリアルにこの国の現実をオリバー・ストーンがとらえた、ということではないだろうか。彼はこの映画をつくることによって、自らのスタンスを明確にした、と思う。

そしてこの強烈なプライドが、『プラトーン』以下の作品にとりくむ自信を与えた、というのはうがちすぎだろうか。

(評価:★5)

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