[コメント] マグノリア(1999/米)
そんなに人生、深刻でもないよ。
画期的な作品との噂だけに、それなりに期待して観た。導入部から始まる差し替えの多さにも慣れ、クルーズの意外な一面も見えてそれなりに楽しめ始めたのも束の間、中盤から後半にかけてダルダルな状態が続く。原因として、売り物の主人公の多さがネックになっているのは皮肉だ。
登場人物が多いだけでも把握が難しいのに、絡みの不可解さと差し替えの多さが、登場人物各人の背景を希薄にし、観客の感情移入を疎外している。正直、中盤の人情物語には、途中から観たメロドラマのお涙シーンのごとくに退屈した。
第一、監督の言う「必ず一人は共感できるであろう人物」など、これらの「深刻な重病人」と「ノイローゼ患者」と「人生の敗北者」などの中から見つけ出すこと自体が難しい。人生のリアリティを表現したいのはわかるが、あまりに極端で異常な行動を登場人物に与えすぎ、その意図を見事に外してしまっている。とりあえずクルーズの演技に助けられたが…。
他にも言いたいことはあるが、総じて、美味くない小鉢を並べた料理を食わされた感。テーマは人生における数奇な運命と各人の関係だが、そんなものは仏教文化を受容してきた我々にとって「因縁」の一言でかたづけられる観念だ。
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