[コメント] 遠い空の向こうに(1999/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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そしてこれは父親と息子の物語です。
十代の息子はどうしたって父親とぶつかる。父親は息子を子ども扱いして自分の手中に収めておきたがる。尊敬してたって愛してたって、お互い素直になれない。それはきっと認めたくないんだろう、似た者同士だってことを。
バイコフスキーのエピソード、ロイリーが義父に殴られるシーン、夫婦のマートルビーチの会話、小さいシーンの一つ一つがジ〜〜ンとくる。そのすべてに父さんが拘わっている。なかなか越えられない父さんという壁。けれど最後の、ホーマーの肩に手をかけるシーンで、その壁はあら不思議、壁なんかじゃなかったことにホーマーは気づく。父さんも、息子がただ単に反発していただけじゃないことに気づく。なんなんだろう、この瞬間。ハッと目の前が解放される瞬間。理屈じゃないその瞬間を、丁寧な人物描写で積み上げてきた結果、ストンと腑に落ちるこのシーンが大好きだ。
クリス・クーパー がいい味出してる。頑固で仕事熱心なリーダー格の男。男尊女卑、一家の長、そういう負の印象さえ、すべて最後のシーンで「愛する家族がいるからこそ」と納得させた。
クエンティンも重要な役。変人扱いされ心を閉ざしていたけれど、好きなものを共有してからどんどん解放されていく。売春婦の立つ裏道の壊れかけた小屋に多くの家族と住む彼が手にしたのは、大学へ行き成功したとことより、一緒に青春時代を過ごした「仲間との時間」だろう。それはホーマーにもロイリーにもオデールにもいえること。時代を見据えて生徒を鼓舞し続けたミス・ライリーに捧げたロケットは、みんなの心の空に飛んで行った。
あぁ、熱いぜ青春、泣けるぜ青春。大好きな一作です!
原作を先に読んだけれど、母さんはもっと違うイメージでした。
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