[コメント] 隣の女(1981/仏)
赤系統の色調の画面と青系統の色調の画面の使い分けが見事で、ともに印象に残る。私たちは『隣の女』を赤の画面の映画としても青の画面の映画としても思い出すことができるだろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ジェラール・ドパルデューがファニー・アルダンについて「相性が悪い」と云い、それに対してドパルデューの妻ミシェル・ボームガルトネルが「そうかしら」と疑わしそうにする場面があるが、ドパルデューは必ずしも嘘をついているわけではあるまい。ドパルデューとアルダンは「合いすぎて合わない」「相性が良すぎて悪い」とでも云うべき一種のアンビヴァレントな関係にある。このような二人の関係性については、ラストでヴェロニク・シルヴェールが二人の墓碑に刻まれるべき言葉として「あなたといると苦しい。あなたなしでは生きていけない」とやや詩的に「説明」してもいるが、それ以上に前半の「二人がまったく同時に電話をし合って、繋がらない」というエピソードがより端的かつ雄弁に物語っている。詩的な言葉で綺麗にまとめるよりも、この電話のエピソードのように明白に悲喜劇的な演出で全篇を貫いてくれたほうが私の好みではあるけれども、いずれにせよこれが立派な画面と話術に支えられた名作であることに変わりはない。
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