[コメント] 救命士(1999/米)
『タクシードライバー』があの時代のニューヨークの孤独感を描いていたのなら、こちらは現代ニューヨークの疲労感と倦怠感をしっかりと描いていたと思う。決して言われるほど悪くない
『タクシードライバー』はそんな孤独感溢れるニューヨークを背景に、デ・ニーロ演じるトラヴィスというマイノリティを描いた。一方『救命士』は、ケイジ演じるフランクに観客を同化させながら、マイノリティのようであって最早マイノリティでは無くなりつつある人々と、彼らが暮らすニューヨークの一部分を描いた。華やかなネオンが輝く街並みの角を一つ曲がり、その先にあるボロアパートの階段の上の一室のような側面を。
監督だけでなく、脚本家のポール・シュレイダーまで同じと来たモンだから、『タクシードライバー』と比べられ「進歩のない凡作」だとか言われてしまっているが、俺には彼らが描こうとしているものは伝わってきたし、そこには上に書いたような進歩が十分感じられた。
まぁそういうワケで観ていてそれなりに面白い。だが、物語の興奮に欠けているのはスコセッシだから良いとして、スコセッシ映画らしい余韻と興奮(編集や音楽なんかの技巧的な部分)に浸れない程に疲れさせられたのは問題かと。よって苦渋の★3。もう一回観たら違うかもしれないけど。
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