[コメント] ある結婚の風景(1973/スウェーデン)
具体から一般へ。特殊から普遍へ。エルランド・ヨセフソンとリヴ・ウルマンという具体的な一組の夫婦を描き詰めることで、人間が結びうる「関係」の本質を目指す。実に的確で見事な演出であり演技だ。だが、だからこそ感動や共感よりも驚きを映画に求める私にはいささか物足りなくもある。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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夫婦が不和に至った原因や夫婦関係の変遷過程について、観客には必ずしも多くの詳細な情報が与えられるわけではない。しかし、それにもかかわらず二人の演技は納得性に満ちている。ヨセフソンは時に怒声をあげたり、後半においては暴力に及んだりもするのだが、感情の高まりがピークに達するそのような瞬間においても、覚えるのは驚きというよりさもありなんといった納得だ。腑に落ちすぎてしまうとでも云えばよいだろうか、本来的に人間の理解の閾を越えるものを理解できたような錯覚を覚えるほどに見事な演技なのだ。そこが演技において納得性と驚きを両立させるカサヴェテスとの違いである。などと云ってはさすがに乱暴すぎるだろうか。
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