夏。だが北欧の夏は色彩鮮やかにぎらついたりはしない。静かに揺らめく水面や足早に流れていく雲は、銀幕にこそ相応しい。生活を厭う若いふたりは、そんな夏の海辺に旅に出る。目眩めく交感の刻。だが、それはやはり永遠のものでは有り得ないのであった。

夢見勝ちで、手前勝手で、ヒステリで。グラマラスでいながら、大人と子供の狭間にあるようなその相貌。まさにどこにでもいそうな“不良少女”、モニカ。彼女が泣けてくるほど美しい。モニカが映画のキャメラに向かってその残酷な変心を無言で告げるかの様に眼差しを向けるショット、そのクローズアップの“美しさ”。それはつまり、刻みつけられた「時」の“美しさ”。