[コメント] 十三人の刺客(1963/日)
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とりわけよかったのは内田良平。まるで鬼頭半兵衛のクセであるかのような、扇子で刀のつかをなぞる動作などぞくぞくした。
ロケに適した所がたくさんあったからだろうけど、屋敷前や門前、川など、ふんだんにロケしてて雰囲気十分。それに数十人の武士が集団で馬に乗って駆けるシーンなんて、最近ではまずお目に掛かれないから、それだけでも迫力十分。
クライマックスの襲撃の場面はいやもう、狭い、狭い。ひたすら狭い。この狭さがあるから、一人で四、五人を引き受けては路地に誘い込み、一人づつ相手にする。十三対五十二という四倍の相手に対しても屋根の上からまず襲い、分断し、さらに狭いところで一対多数にならないように切り結ぶ。
そして集団的な戦闘では、闇雲に刀を振り回したり、じっと立ち止まって待ちうける相手にそうそう斬りかかれるものではない。なぜなら、一人を相手にしている間に後ろから斬られるから。
斬り結ぶ時は、一撃離脱でやる、それができない時でも、じっとにらみ合うなんてことはしない。こういった緊張感にあふれていた。
こんな闘いでは両手をがばっと大きく広げて迫るだけで、相手に対して十分威嚇になるのだろうし、そうしておいて、押しては引き、引いては押し、の呼吸で斬り結ぶ。時代劇の醍醐味を堪能できた一本だった。
ラストに互いに斬られながらも、「藩主を斬らねば拙者の武士の一分がたたぬ。わしを斬らねばおぬしの武士の一分がたたぬ」というセリフが印象的であった。まさに、武士の意地と面目が激突した闘いであった。
傑作、というにふさわしい時代劇。
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