[コメント] 真夜中の虹(1988/フィンランド)
これ以上そぎ落とす所がない所まで不必要なカットを切り落としていったカウリスマキだが、いつも人々の生き様はそぎ落とさない。人生は無駄が多いけど決して無駄が無駄で終わらない事を知っているからこそ、人が活きてくる映画を作るのが巧いカウリスマキ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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始まりからラストに至るまでの道のりが素晴らしく起伏に富んでいて、どこから見ても何が起こっているのかが手に取るように判る。このように、どこから切って食べても「あっ、これカウリスマキ!」ってなる映画って凄く珍しいし、ハマり出すと止まらなくなってくる。さらに、この魅力は選曲にも鎮座していて、最後の『OVER THE RINBOW:ver.フィンランド』は言葉が出ないくらいハマった。
[私の解釈]
何故ハマったのかと言うと、このレインボーをラストに持ってきた意図が凄いからだ。『オズの魔法使い』を見れば判るが、『オズの魔法使い』の内容はドロシーwithお供が苦難の連続に遭遇する話なのだが、この作品のラストは『オズの魔法使い』のオープニングから始まる。ようするに、「この先に乗り越えなければならない本当の試練がこの家族に待ち受けていて、まだこの家族の物語が始まってないことを意味している」を『OVER THE RINBOW:ver.フィンランド』一つで表現しきったのだ。
その事にピンきてから一気に、この先この家族に訪れるであろう試練の数々が、脳みそに一気に流れ込んできて様々な想像をさせてくれたからハマった。トドメの一撃で、タンカーの名前もそうだが、その大きさに期待と不安の大きさを示したのも最高でした。映画の可能性を探る向上心旺盛さが他の監督と比べて群を抜くカウリスマキは、凄い。
2003/1/7
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