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[コメント] オール・アバウト・マイ・マザー(1999/仏=スペイン)

この監督の作品は初めて見ましたが、大河ドラマのような内容をこれだけ短時間にまとめて、こえだけゆったりとしたリズムで描写できるなんて凄い。
chokobo

 オール・アバウト・・・とくれば、だいたい想像できるんですが、予想をはるかに上回る出来でした。それと、せっかくワイドスクリーンならやっぱりビデオではなくて映画館で出会いたかったですね。

ペドロ・アルモドバルはスペインの大御所です。この作品の10年前に『神経衰弱ぎりぎりの女たち』という作品がヴェネチアで注目を浴びています。コメディタッチの映画のようですが、ここでも男女の熱い感情のぶつかり合いで別離が映画の中心にあるような作品でした。

本作『オール・アバウト・マイ・マザー』においても別離とその後の互いの変化について細かく描写されています。スペイン映画に接する機会は少ないのですが、この情熱的な感情のぶつかり合いと、それを克服する強い女性と男性のホモセクシュアリティは日本人としてはわかりにくい面もあるが、心の底を締め付けるような感動をもたらしてくれますね。素晴らしい作品でした。

所詮この世には男女しかいない。しかしその互いの性が一度ずれてしまうとスパイラルに陥ってしまう。親は勝手だ。しかし子供にそれが影響することの辛さ。そして死。この相関関係に難しさを覚える。

日本人的にはまだまだ隔世の念を抱く面もあるが、現実は同じ人間である。愛する者が妻であれ夫であれ、夫婦という関係と性という概念は必ずしも常識を堅持しているものではない。では常識とは何なのだ。夫が女であることを常識とするのか。分かれた夫がホモであることを常識と認めるのか。そのあたりの非常識さが、この映画の見所であり楽しいところでもありますね。

(評価:★4)

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