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[コメント] 太陽は、ぼくの瞳(1999/イラン)

美しいのは「映像」ではなく「世界」である。各々の実直な人生は哀しみで彩られているが、それでも彼らをとりまく世界は美しい。「生きる」という極めて単純な営みを、肯定的に捉える監督の視線が優しい。
るぱぱ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







モハメドが美しく見えるのは、世界を自らの内側に持っているからだ。同様に、父親が哀しいのは常に世界から孤立しているからだし、祖母が微笑むのは世界と一体化できるから。

全編を通して喜びも哀しみも極めてシンプルだ。何より各々の幸せの形がはっきり見えている。もちろん彼らをとりまく運命は悲哀に満ちたモノなのだが、作品全体に悲壮感が漂わず、むしろ幸福を期待させるのは舞台となる世界の美しさが際だっているからだ。

幸せの形すら複雑になりすぎてしまったボクらは、「生きていく」ってことのホントの意味をどっかで取り間違えているんじゃないか? 見えないモハメドが見ているモノ。そして多分父親には見えていないモノ。それよりも遙かに、僕らは世界を見てないんじゃないんだろうか。

まぁ、流されちゃった馬よか幸せかもしんないけど。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)KADAGIO[*]

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