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[コメント] マルコヴィッチの穴(1999/米)

「穴があったら入りたい…」と思うマルコであった。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まず「マルコヴィッチからの視界」のデザインがちょっと凡庸だった。ここはディテールで笑いをとれるという腕のみせどころでしょう。

あと、本人が本人の中を覗くシーンは、劇中もっとも「どうなる?」という興味が集中するところで、結果、絵的なインパクトもあって成功したといえるのだろうが、失敗だったようにも思う。あれは『未知との遭遇』のマザーシップの中と同じで、想像させるのみにしたほうが良かったように思う。せっかく高速道路脇から出てくるという「何で?」というナンセンスさを持ちながら、終盤以降ことごとく説明に終始してしまう方向性をあれが決定づけてしまったように感じる。本作のおかしさは奇妙なオフィスや登場人物から始まるシュールさが基調なのに。

円盤ついでに言えば、老人たちの『コクーン』みたいな話なんて、説明のための設定だから何にも面白くないし全然いらない。終盤、クレイグ、ロッテ、マキシン、マルコヴィッチだけの話に絞り(チャーリーも入ってもいいか)、入れ替わり、立ち代り穴の中に入り込みドタバタを繰り広げるが、マルコヴィッチが中に入った時の絵だけは出てこないで、その都度(覗いてきた後の)マルコヴィッチの微妙な表情を楽しむというのはどうだろう? このシーンだけはノーリハーサルで、キューザックやディアスたちもマルコヴィッチ(と監督)が何を仕掛けてくるかわからず、生のリアクションをする、そこをフィルムに収めるのだ。当然ここは監督とマルコヴィッチのガチンコになるだろうが、俳優本人の名前で相撲をとるのだから、それくらいのことはしてもバチはあたらないでしょ、監督。どうしても「マルコヴィッチがいっぱい」をやりたいなら、「トラウマワールド」と一緒に最後に持ってきてもよい(やはり見たい気はする)。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)くたー[*] けにろん[*]

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